BE:YOND by b-en-g 2018セッションレポート
IoTを活用した4M視点での生産改革

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講演者
株式会社 日立製作所
制御プラットフォーム統括本部
担当部長
門間 隆之 氏

講演タイトル
デジタルトリプレットと4M視点の生産システムで高効率な生産モデルを実現


超スマート社会の実現に向けた日立の取り組み

 猛烈な勢いでIT化が進み、超スマート社会へと突入しようとしている。超スマート社会では、実世界と情報世界、知識世界が高度に融合し、自律的な最適化を可能にする新たな社会が形成される。

 超スマート化社会に向け、日立製作所(日立)の大みか事業所(茨城県日立市)では、デジタルトリプレットモデルを使い、4M(人:Man、機械:Machine、材料:Material、方法:Method)視点の生産システムを融合させた高効率生産モデルを構築・実践している。

 門間氏は、「大みか事業所では、ライフラインをはじめとする社会インフラや情報制御システムの製造で、約4,000人が事業に従事している。代表的な事業領域としては、電力分野、鉄道分野、社会・産業分野など。生産の特徴は、多様な生産ラインによる多品種少量生産だ」と話している。

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大みか事業所の課題とその解決

 大みか事業所では、「熟練者の経験や勘、ノウハウなどの暗黙知を形式知化し、知識の属人化から脱却すること」「大量生産並みの品質、作業効率を目標に、4M視点でのデータを活用して全体最適化を実現すること」という大きく2つの課題を抱えていた。

 解決策について門間氏は次のように語る。「部分最適だった生産システムの改革要素をIoTでつないだ生産システムを構築することで全体最適を実現した。また、成熟モデルベースのアプローチと循環システムの実現により、工場を進化させる取り組みも推進している」

 高効率生産モデルは、製造現場にあたる実世界からデータを「Sense(見える化)」し、情報世界で「Think(分析)」、知識・ モデル世界で「Act(対策)」して、さらに実世界に戻すデジタルトリプレットモデルに基づいている。

 門間氏は「具体的な取り組みとして、人手組立作業主体の生産現場におけるシステム拡張と自動加工生産現場におけるシステム拡張の2つの取り組みを推進した」と話している。

 人手組立作業主体の生産現場では、設計、製造、調達などのシステムを連携し、最適化することで、RFIDや画像分析による問題の見える化、生産計画反映の迅速化を実現。リードタイムを50%削減した。

 一方、自動加工生産現場では、設備を主体とした生産ラインに対し、エンドツーエンドに生産システムを拡張することで、作業進捗や設備状態監視による問題の見える化と設備の予防保全、在庫管理の適切化を実現。生産性を30%向上している。

B-EN-Gと日立で成熟モデルをIT化


 日立では、東洋ビジネスエンジニアリング(B-EN-G)との協創による価値提供も実践している。具体的には、(1)見える、(2)つなげる、(3)流れを制御する、(4)問題を把握する、(5)将来を予見する、(6)助けあうという6つの成熟レベルで構成される成熟モデルベースの各アプローチをIT化している。

(東洋ビジネスエンジニアリングのソリューション事業本部 デジタルサービス本部の志村健二が登壇し、日立製作所とB-EN-Gとの具体的な協創ソリューションを語る)

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 現場のリューションである(1)見えるは、B-EN-Gの作業動作の見える化ツール「mcframe MOTION」と製造業向け簡単IoT「mcframe SIGNAL CHAIN」で、(2)つなげるは、日立の進捗・稼働監視システムとB-EN-Gの製造・物流実行管理ソリューション「DELMIA Apriso」で、(3)流れを制御するは、日立の組立ナビゲーションとB-EN-Gの仮想現実(VR)学習システム「mcframe MOTION VR-learning」で実現する。

 また経営のリューションである、(4)問題を把握するは、日立の作業改善支援システムと気付き支援CADで、(5)将来を予見するは、日立の工場シミュレーターとB-EN-GのSAP IBPで、(6)助けあうは、日立のBIツール「Pentaho」とB-EN-Gのビジネスコラボレーションツール「Business b-ridge」で実現する。

 成熟モデルベースのアプローチにより、「現場と経営の“真”のつながる化」を実現することができる。

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